薬局業界を今も震わせている大問題

薬剤師資格の改正や登録販売者の設置といった大規模な改革が行われた薬品販売業界ですが、2009年の改正以降も大きな問題が取り巻いています。

中でも最も大きなニュースとなったのが医薬品のネット販売で、2013年の最高裁判決などは特に耳に新しいところです。

医薬品業界以外の人もしばらく何度もこのニュースに関する続報などを耳にした覚えがあるのではないかと思います。

改めてこの裁判について振り返ってみると、ことの発端となったのはネット販売業者であるケンコーコムが2009年に施工された改正薬事法では第三類医薬品以外の医薬品をネット上で販売禁止にしていることに関してこれを不服として訴えたものでした。

判決が最高裁で出されたのは2013年3月で、「ネット販売を禁じた施行規則は法律の委任の範囲を越脱している」として無効判決を下しています。

その後6月には日本再興戦略という政策のもと医薬品のネット販売全面解禁を宣言したことでこの問題はひとまず幕引きをなっています。

ケンコーコムなその後もなお処方せんが発行された薬剤をネット販売するための確認訴訟を起こしていますが、こちらはまだ完全に解決をしたわけではなく今後も国を相手にした訴訟が続くものと予想されています。

参考>>ケンコーコム、処方せん地位確認訴訟取り下げ

なぜネット販売がNGとされたのか

この問題は薬剤師や薬局業界にいる人ならばほぼ全ての人が戦々恐々として行方を見守ることになっていました。

なぜなら従来までの医薬品は、あくまでも対面販売が基本として定められており、薬剤師が常駐する薬局においてその効能や副作用についてきちんと口頭で説明をした上でなければ販売をしてはいけないという独占的な地位が確立されていたのです。

これは消費者たる患者さんの健康を守るという趣旨で定められたものでしたが、実質的には薬剤師資格や薬局としての登録をしている店舗・企業を規制によって保護するという趣旨で運用されており、この規制のため薬局業界は過当競争にさらされることなく安定的な営業をしていくことができていたというふうに言えます。

そこでネット販売が解禁されてしまうと、わざわざ薬局に足を運ぶお客さんが激減してしまうことが考えられ、まさに薬局業界にとっては死活問題となるというわけです。

結局時代の要請によりネット販売は解禁されることになってしまいましたから、今後はドラッグストアを含める薬局業界はより営業戦略を考えた営業をしていかないといけないということになります。

早速ネット販売に乗り出す大手薬局も

調剤薬局とドラッグストアのいち店舗として営業をしてきた身としてやや鼻白むのが、裁判の判決が出るまでは「消費者の健康が担保できない」といったさも患者さん側の利益を守るために戦っているかのようなことを言っていた大手薬局チェーンが、判決が出た途端にネット販売を開始するというあっさりとして手のひら返しを始めたということです。

生き残りのための老獪な手段というふうに見ることもできますが、自身が不利な状態にあるときにはまるで公共の利益を守るための活動であるかのような言い方をしておきながら、いざ規制が変わると利益を優先した行動に乗り換えるというのはあまりにもポリシーがないように感じます。

当店のような小規模店においては正直ネット販売よりも地元密着の常連さんによる営業利益が大きいので今のところそれほど影響はないのですが、また今後の流れによっては営業方法を変えていく必要があるのかもしれません。