薬剤師は相談を受け付けるのも仕事です

先日おそらく初めての来店と思われるお客さんがお店に来られたときのお話です。

そのお客様は女性で、しばらく薬が置かれている棚の前を往復されては薬のパッケージを読んでいる様子をされていました。

その時間に勤務中だった私はその方に「何かお探しのものはありますか?」とお尋ねしたところ、迷っていたようですが結局アドバイスは結構ですといったふうにして私から離れ、またしばらくお薬を選んでいる様子でした。

結局とある有名な医薬品を購入されていったのですが、かなりの時間を要して選ばれていたこともありもう少し積極的にご相談していただけたらと残念に思っていたところでした。

と、そんなことを気にしていたところ数日してまたその方がお店を訪れ、また別のお薬を選ぶのに迷っておられるようだったので再び話しかけてみることにしました。

すると遠慮がちながらご家族の病状について相談され、それで前回選ばれた薬ではないより適切と思われる製品をご案内することができました。

相談されたあとにはかなりほっとされたようで、薬を飲む本人がお医者さんが嫌いということもあり、どういったものがいいか本当に迷っていたと言われていました。

押し売りのようなことをされる薬局も

その方がはっきりそう言われたわけではないのですが、どうも以前に他の薬局(ドラッグストア?)で同じように薬を探しにいったとき、あれもこれもとかなりたくさんの製品を勧められた経験があるようでした。

私自身も、実はあまり大きな声では言えないのですが同業他社の営業方法を参考にさせてもらうために薬剤師という身分を隠して他のお店で薬を探したりすることがあるのですが、その時にも同じような経験をしたことがあります。

一見親しげで非常に接客態度もよいのですが、症状に対して明らかに過剰な薬の数を勧めたり、業界人なら知っている特に利益率の高い薬剤などを優先して勧めてきたりして、接客のうまさに笑いつつも心の中で苦笑いをしてしまったことがありました。

こうしたお客さんとの距離を縮めてできるだけお店にとって都合のよいものを販売しようとする方法は高級服飾店などでよく見る方法ではありますが、まさか健康を預かる薬局業務で同じようなことが行われているとは思わず、同業者として軽くショックを受けた次第です。

お店ごとの営業方針というものはあるのかもしれませんが、最初に紹介した女性の方のように本当に事情があってお薬を購入に来られる方もいるわけですから、そうした利益重視偏重の営業はできれば業界内ではなくなってほしいものです。

テレビやメディアを信じ過ぎるのも危険です

もう一つ最近思ったのが、薬を買われに来るお客さんの中にはかなり偏った情報に惑わされている方も多いということです。

私も時々家で見ますが、テレビ番組の中には「健康バラエティ」と銘打ってかなり偏った健康に関する知識を紹介しているものも見受けられます。

テレビだけでなく健康食品のCMや雑誌、インターネットの情報の中には自社製品をアピールする目的なのか誤ったとまでは言えないもののかなり一方的なものの見方で人の健康について説明をしているものを見かけます。

お客さんの中にはそうした情報を鵜呑みにして、私どものアドバイスを拒否したり、嘘をついていると言ったりすることもあったりします。

ただ前述のようにお客さん側が知らないのをいいことに高い製品を売りつけるドラッグストアもあるわけですからどっちもどっちな側面はありますが、できることなら薬剤師免許を持つスタッフの意見は聞いていただきたいところです。